あなたは「母性」と聞いて何を思い浮かべますか?
優しさ、温もり、献身、慈愛の心……多くの人は、人間としての温かさや崇高なイメージを抱くのではないでしょうか。
そしてそれは、「母親になることは素晴らしい」「子どもを産み育てることが人を成長させる」という価値観に結びつきます。
たしかに、子育てを通じて人として成熟する部分は大いにあります。
しかし一方で、そのような価値観をすべての人に押し付けることが、不妊で苦しむ女性を追い詰めることにもつながるのです。
今回は、不妊に悩む女性・子どもを持たない女性の声をすくい上げ、「母性神話」の社会に疑問を投げかけた衝撃的な一冊、
「母性は女の勲章ですか?(大日向雅美 著)」
という本をご紹介します。
この本が訴えるもの
この本の醍醐味は、子どもを持たない女性の声を丁寧に聞き取り、あらゆる角度から検証している点にあります。
年齢・立場・家庭環境もさまざまな女性たちが語る誰にも話せない「本音」が、本の約半分にわたって詳細に書かれています。
不妊にまつわる苦悩・葛藤は、本人にしかわかりません。
私たちはどうしても悩んでいる人を前にすると「アドバイス」や「励まし」の言葉をかけたくなりますが、子どもを持たない女性たちの正直な声をひとつずつ読み進めると、静かにそっと寄り添い、思うままに語ってもらうことが最善のような気がします。
しかし、実際のところ「ありのままをさらけ出せる」環境にいる女性は、とても少ないのだろうな……とも感じます。
後半部分では、これまでの日本の社会的背景を踏まえながら「子どもを持たない女性の生きづらさ」について、心理学者である著者ならではの鋭い視点で解説しています。
「母性神話」「母性賛美」が強調されることで、人々は知らず知らずのうちに価値観を操作され、産む女性・産まない女性がともに苦しむ社会になっていると著者は訴えます。
この本は発行からすでに27年の歳月が経過しているため、当時の女性と現代の女性では、時代の流れによるちょっとした感覚の違いがあるかもしれません。
しかし、「子どもを産めない苦しみ」「社会の価値観に傷つけられる痛み」という点では今も昔も関係なく、多くの不妊女性が共感できる内容になっていると思います。
不妊女性の苦悩を丁寧に拾い上げる
著者は日本の「母性神話」や「三歳児神話」に疑問を唱え、母親の育児不安やストレスに対する支援を訴えた草分け的存在です。
育児に孤軍奮闘する母親の調査・研究を通して、「“子育ては女性の役割”という母性神話に苦しめられているのは、母親だけでなく子どもを持たない女性も同じではないだろうか」という疑問から聞き取り調査をはじめたといいます。
著者が電話や手紙を通して拾い上げた、子どもを持たない女性たちの声はさまざまです。
- 跡取りや孫の誕生を期待されるプレッシャー
- 周囲の親族や知人が出産する中、肩身が狭く居場所がないと感じる
- 「まだ作らないの?」「子どもがいないと気楽よね」など、子どものいる同性からの心ない言葉
- 女として生まれたからには、子どもを産んでみたい
- ほかの人は当たり前にできることが、自分にはできない。人間としての役目を果たせない気持ちになる
- 家族連れを見るのもつらく、家に引きこもりがちになる
- 不妊治療に無理解な夫への不満
心ない言葉で直接傷つけられた人もいれば、子どもを連れた夫婦や近所の赤ちゃんを見るのもつらいなど、罪のない相手への嫉妬心で自己嫌悪に陥る人もいます。
本書に出てくる女性の多くは、周囲への負い目や自己否定を感じています。
「結婚したら子どもを持って当然」「女なら子どもを産んで当然」という偏った価値観は、「当たり前のことができない自分は、人として・女としての価値がない」と思わせてしまう怖さがあるのです。
妊娠・出産にまつわる女性同士の対立
また、「同性からの心ない言葉に傷つく」という点において、著者は子どもを持つ女性・持たない女性を、ともに“母性神話の犠牲者”という視点で見ています。
「女は子どもを産み、愛し、育てるもの」という風潮の中で、窮屈さを感じる母親たちが子どもを持たない女性に優越感を持ち、哀れみを示すことで心のバランスをとっている……と。
本書では「仕事でミスをすると、『あの人は子どもがいないから』と中傷される」という女性の声も載せています。子どもの有無と仕事の能力は全く無関係なのに、「子どもを育てていない人は半人前」という目で見る人も残念ながらいるのです。
子どもを産む・産まないによって女性同士の対立を生んでしまうのは、女性が「出産を前提とした生き物」として社会に認識されてしまっているからにほかなりません。
さらに、このような社会の風潮だけでなく「母親であることに女性のアイデンティティを求めるのは、むしろ女性自身であるのかもしれない」と著者は指摘します。
子どもを持つ人・持たない人が互いの苦しみを理解し合い、ともに尊重しあう社会でなければ溝は深まるばかりです。
産む・産まないという狭い枠組みの中でマウントし合うのではなく、互いの存在を認め尊重すること。そのためには「女性自らが母性神話の風潮から脱却する必要がある」ということでしょう。
「母性」はいったい誰のもの?
不妊女性を苦しめるのは、「母性」に対する人々の揺るぎない価値観です。
日本では愛や慈しみこそが母性であり、「母親になることが女性の役目で存在価値でもある」といった風潮が根付いてきました。
子どもを産む・産まないというのは、個人もしくは夫婦の問題であるはずなのに、ここまで他人に干渉されるのなぜでしょうか?
それは、「出産が人口問題に影響するからであり、その国の政治・経済にかかわる重大事としてみなされるから」と著者はいいます。
戦時中は「富国強兵」「産めよ増やせよ」の時代、現代は少子高齢化による働き手の減少・社会保障の先細りで「女性活躍」「子育て支援」の時代です。
国はいつの時代も「母性」を強調することで民意を統制してきた部分があります。
その時代の社会情勢に応じて「母性」を強調し、それが人々の価値観となって社会が動くのは、著者の言葉を借りれば「母性が操作されている」状態です。
母性は、いったい誰のためのものでしょうか?
本来は子どもへ向けられる、女性の本能的な愛情です。そして、母性が強い人・そうでない人、母性を担えない人・背負いすぎる人……それぞれです。
それなのに、「女性であれば母性が備わっているのは当然」「女性であれば子どもを産んで当然」という前提で操作される社会。
子どもを持たない女性の苦しみに拍車をかけているのは、このような社会のあり方にも原因があると著者は言っています。
子どものいない人生 〜どのようにして苦しみを乗り越えたか〜
本書では、不妊に悩む女性が苦しみをどのように乗り越えたかという点も詳細に語られています。
- 「子どものいる人生がすべてではない」と考え直した
- 夫婦2人だからできることを考え、2人の時間を大切にするようにした
- つらい不妊治療だったが、「ここまでやった」と納得できた
- 時間が解決してくれた、吹っ切れる時が来た
- 「不妊に苦しみ抜いたことが、まぎれもなく今のあなた自身」と自分を丸ごと受け入れてくれる人の存在があった
不妊の苦しみや、それをどうやって乗り越えるかは人それぞれです。
無理に乗り越えようとする必要もありません。乗り越えられるタイミングもまた、人それぞれだからです。
実際に、不妊治療を止められない夫婦は多いのです。不妊治療を終わりにするということは、「わずかに残っているかもしれない可能性を捨てることになる」と考えてしまうのでしょう。
自分自身が母親になりたいのと同じように、夫を父親にしてあげたい一心で、苦しい不妊治療に耐えている女性もいます。
本にこう書いてあったから、あの人はこうやって乗り越えたから、とそれをそのまま鵜呑みにする必要はありませんが、他者の苦しみや経験を知ることは視野を広めるきっかけにもなります。
【まとめ】
子どもを持たない女性たちの声を通して見えてくるのは、ステレオタイプな「母性」へのイメージが社会の人々に与えてきた影響の大きさです。
そしてそれは、不妊女性・子どもを持たない女性の苦脳の原因、生きづらさの根っこの部分ともいえます。
不妊女性の苦しみは、当人にしかわかりません。専門家がいくら話を聞いてアドバイスをしても、100%気持ちを理解することはできないし、納得できる方法で解決することもできないのです。
ただ、この本を通して当事者の胸の内を知ることで、「苦しみや痛みに寄り添うことがいかに大切か」ということは理解できます。
不妊に悩む女性だけでなく、その家族にもぜひ読んでほしいおすすめの一冊です。
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<出典・参照元>
母性は女の勲章ですか?(大日向雅美 著・産経新聞社)
不妊治療“やめられない”(NHKニュース おはよう日本)
“子どもがいない人生”を歩む 不妊治療 夫婦の“その後”(NHK NEWS WATCH9)