梅雨真っ最中のこの時期は、毎日がどんよりした空模様で気分も憂鬱になりがちです。
妊活中・不妊治療中の方はとくに、通院のストレスや治療の副作用も重なって普段より不調を感じやすい時期ではないでしょうか?
疲れがとれず、いつまでたっても不調から抜け出せない。寝つきが悪く、休んだ気がしない。
じつは、このような心身の不調は自律神経が乱れているサインです。自律神経が乱れたままでは、あらゆる疲労回復法を試しても効果は感じられません。
逆に考えると、自律神経さえ整っていれば心身ともに調子の良い状態を手に入れることができるのです。
今回は、自律神経を整えて「いつもハッピー」な状態を保つための方法をいくつかご紹介します。
ハッピーに過ごすためのカギは自律神経が握っている!
病院に行くほどでないけれど、なんとなく体がだるい・頭が重い・疲れがとれない。
このような「なんとなく不調」「いつもどこかしら不調」という状態は、自律神経が影響しています。
人の体はうまくできていて、天気や寒暖差など外部環境の変化を受けても体内環境を一定に保つ働きがあり、これを「ホメオスタシス(恒常性)」といいます。
ホメオスタシスが正常に働かないと、私たちの体は体温や血圧が急激に上がったり下がったりして、健康な状態ではいられません。
このホメオスタシスを保つために必要なのが、「自律神経」です。
自律神経は活動性を司る「交感神経」と、休息を司る「副交感神経」に分けられます。
朝の目覚めとともに日中は交感神経が優位に、夕方になると副交感神経が優位となり、それぞれがバランスを保つことで「昼は活動し夜は眠る」というリズムを作り出しています。
つまり、昼間はアクティブに・夜はぐっすり眠れる体を取り戻したいなら、自律神経を整えてあげればよいのです。
自律神経が発する「不調のサイン」を見逃さない
自律神経は、いわば「人間の意思に関係なく働くオートメーション機能」です。
たとえば、貧血のときに「もっと心臓を動かして全身に血液を送ろう」とか、お腹が痛いときに「腸の動きを弱めよう」と考える人はいませんよね。
考える必要もなく、自律神経が勝手に調整してくれるのです。
心臓や腸の動きだけでなく、血管が縮んだりゆるんだり、体温・呼吸・ホルモン分泌の調整をしたり、体にとって重要な働きのほとんどは自律神経の支配を受けていて、それは生命を維持するために欠かせないものだからです。
このように緻密な働きをする一方で、自律神経は「生活環境や気分の変化に影響されやすい」という特徴があります。これはデメリットのようで、実は体にとって非常に大切なことです。
たとえば、人間関係・職場や住環境の変化・昼夜が逆転した生活・急激な寒暖差などのストレスで、交感神経・副交感神経のどちらか一方が高い状態が続いたり切り替えがうまくいかなかったりすると、あっという間に自律神経が乱れます。
そして、いったん自律神経が乱れると、夜になっても眠れない・朝になっても起きたくない・体がだるくて何もしたくないなど「心身の不調」として現れるようになります。
環境の変化やストレス→自律神経の乱れ→心身の不調という流れは、「ヤバイ状態だよ!早く気付いて!」という自律神経からのメッセージにほかなりません。
このような不調のサインに気付いてすぐに対処できればいいのですが、自律神経の乱れを放置して無理を続けると、セルフケアで対処できる範囲を超えてしまい病院での治療が必要になります。
重度になると、うつ・心疾患・脳疾患・糖尿病を発症することがあるため注意が必要です。
自律神経と血流の関係
これまで、ことあるごとに「血流」の大切さをお話してきましたが、血流は自律神経とも密接に関わっています。
緊張やストレスで交感神経が優位な状態では、血管が収縮し、心拍・血圧・体温が上がります。
一方で、食事や睡眠などリラックスしている状態では副交感神経が優位となり、血管はゆるみ、心拍・血圧・体温は下がります。
血管がゆるむと血流が良くなり、栄養素やホルモンが体のすみずみまで行き渡ります。
とくに、女性の健康・妊娠・出産に欠かせない女性ホルモン、気分を安定させるセロトニン、質の良い睡眠をもたらすメラトニン、眠っている間に全身の細胞を修復・再生してくれる成長ホルモンなど、健康を保つために必要な物質が全身に行き届くのは「血流」があってこそ。
自律神経が整い血流が良くなれば、気分も安定して夜はぐっすりと眠ることができ、十分な休息がとれるので日々の疲れも癒やされます。
とくに妊活中の方は子宮・卵巣へ豊富な血液を送る必要があるため、常に血流を意識して、心身ともにリラックスした状態を保ってほしいですね。
自律神経の働きを良くする生活習慣
ここからは、自律神経を整えるための方法をいくつかご紹介します。
ポイントは朝の目覚めとともに交感神経モードにスイッチを入れ、夕方には副交感神経モードに切り替えること。
また、緊張やストレスで交感神経が高まった状態が続かないよう、副交感神経のスイッチを入れる方法を身につけましょう。
1.朝起きたらコップ1杯の水を飲む
朝起きたら、まずコップ1杯の水を飲みましょう。
スッキリした目覚めで、副交感神経から交感神経へとスイッチを切り替えます。
寝ている間に失われた水分補給とともに、胃腸を刺激して腸の働きを促す作用もあります。
2.腸を整える
腸は「第二の脳」といわれるほど、脳と密接な関係をもっています。
自律神経を介した腸と脳の関係は「脳腸相関」と呼ばれ、不安や緊張といったストレスが腸に影響し、腹痛や下痢を引き起こすことはよく知られています。
さらにこの逆もあって、腸の動きや腸内環境が悪くなると脳に悪影響をおよぼすことがわかっています。
普段から水分や食物繊維を積極的に摂る・適度な運動を行うなどして便秘を予防し、腸内環境を整える生活を意識しましょう。
3.呼吸を整える
腹式呼吸には副交感神経を高め、血管をゆるめる作用があります。これは横隔膜を動かすことによって副交感神経のスイッチが入るからです。
また、吸う息を1としたら吐く息は2くらいの長さを意識して、大きく吸って長くゆっくり吐く呼吸を意識しましょう。
深い呼吸はセロトニンの分泌を促し、気分を安定させる作用があります。
4.首を温める
美容院のシャンプー台で、首のうしろにホットタオルを当ててもらうと、なんともいえない心地よさで一気にリラックスモードになりませんか?
首には副交感神経の束である「迷走神経」があり、首まわりが凝ると迷走神経の働きが悪くなってイライラや不眠の原因となります。
そこで、首まわりの凝った部分を温めると血流が良くなり、副交感神経が優位になってリラックス感が得られるのです。
さらにもうひとつ、首には「星状神経節」という交感神経のかたまりもあります。この部分を温めてあげると、高まりすぎた交感神経が落ち着き、副交感神経が優位になる効果があります。
スマホやパソコン作業で凝り固まった首・肩まわりは、自分で思っている以上に血流が悪くなっています。入浴時は肩までしっかり浸かる・ホットタオルで首を温めるなどして、首・肩の血流を良くしましょう。
5.睡眠
みなさんは、普段どれくらいの睡眠をとっていますか?
医学的には「7時間前後の睡眠がもっとも死亡率が低い」と報告されていますが、ただ単に7時間寝れば良いということではなく、「何時に寝るか」が重要です。
午後10時から午前2時にかけては「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれます。
この時間帯に寝ていると成長ホルモンの分泌が活性化し、細胞の修復・再生が促され、疲労回復や美容に良いとされています。
「眠りたいのに眠れない」というのは、夜になっても交感神経が高まっている証拠です。
遅くとも午後11時頃にはベッドに入って眠りにつけるよう、寝る3〜4時間前には食事を済ませておく、1時間前には入浴を済ませスマホやパソコンの使用は控えるなど、副交感神経の働きを妨げないように心がけましょう。
もしゴールデンタイムに眠れなくても大丈夫。ベッドに横になり、目をつぶっているだけでも同様の効果が得られます。
【まとめ】
普段は意識していないけれど、私たちの体や心に深く関わっている自律神経。
自分でコントロールできない部分だからこそ、交感神経・副交感神経のバランスを保てる生活を心がけたいものです。
そして、自律神経が発する「不調のサイン」に気付いたら、なるべく早く対処することが大切です。
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<出典・参照元>
自律神経が整えば休まなくても絶好調(小林弘幸 著 ベスト新書)
ハーバード&ソルボンヌ大学Dr.根来が教える 毛細血管を増やして不調をなくす暮らし方(根来秀行 著 Gakkenn)