性交時に痛みを感じたり、特定の体位で痛みを感じることはありませんか？
既婚女性が性交痛を感じる割合は、20〜40歳代で10〜20％前後と少なくない数字です。

痛みのある性交は、妊活への意欲が削がれるだけでなく、隠れた病気のサインの可能性もあります。

この記事では、

• 性交痛とは
• 原因はなにか
• 隠れた病気とは
• 改善方法

について、ひとつずつ詳しくお話ししてきたいと思います。

性交痛ってなに？

性交痛とは、性交時に感じる痛みのことをいいます。痛みを感じるタイミングはいろいろあり、膣への挿入時や完全に挿入した後、男性側が動いた時、性交後に痛みが出る場合もあります。

痛みを感じる部分は、膣の入り口部分、膣内、膣の奥あたり（子宮）のほか、腹痛や肛門の痛みとして感じる場合があります。

性交痛の原因は？

性交痛の原因の多くは、挿入時の膣内のうるおい不足といわれています。

膣内のうるおい不足と言うと、女性側に問題があるかのように聞こえるかもしれませんが、男性側の知識や技術不足の場合もあります。

男性側は陰茎が勃起することによって性交ができる状態となりますが、女性は膣内が十分にうるおうことが必要になります。

膣内のうるおいは、性的な興奮が高まることで膣内の毛細血管に血液が流れ込み、潤滑油の役割をする膣分泌液や粘液が分泌されるようになります。この潤滑液は、性交時に自動的に分泌されるようなものではなく、女性の性的な興奮が必要なところがポイントです。

男性側の独りよがりな性交では、女性側は冷めるばかりですね。ムード作りはもちろん、十分な愛撫や前戯、声かけ、なにより愛されているという実感を女性が感じられるかというところが重要です。

男性側の努力が実を結ばない場合、下記のような要因でうるおい不足となることがあります。

◼︎ストレス：仕事や家庭のことなど、ストレスが原因で膣分泌液などの分泌が不足することがあります。妊活のプレッシャーや不安によることもありますので、睡眠をまずよく取ることをおすすめします。

◼︎妊娠・出産：ホルモンバランスが劇的に変化する時期ですので、膣分泌液などの分泌が減ることがあります。特に出産で会陰切開をした場合、痛みへの不安や緊張がうるおい不足に繋がる可能性は高いです。焦らず、自分の不安な気持ちをパートナーと話しあうことが大切です。

◼︎更年期：更年期は、肌のうるおいを保つ働きのある女性ホルモンの分泌が低下します。膣やその周辺の皮膚・粘膜も影響を受けますので、ヒリヒリ感やかゆみが出たり、性交時のうるおい不足につながる場合があります。

◼︎加齢：年齢があがるほど、高血圧や動脈硬化などの血管に悪影響を及ぼす病気になる確率が高くなります。その結果、血管の壁が硬くなる原因となり、膣のうるおい不足を招きます。

上記のほか、婦人科疾患が原因の可能性もあります。

性交痛に隠れた病気とは？

性交痛の原因がなんらかの病気による可能性もあります。
性交痛が続く場合には、婦人科を受診しましょう。下記のような病気が挙げられます。

◼︎萎縮性膣炎

閉経などによって女性ホルモンの分泌が低下し、膣のうるおいがなくなった状態です。外陰部や膣が乾燥・萎縮し、膣内が硬くなったり、雑菌が繁殖して炎症を起こしたりします。

◼︎処女膜強靭症などの処女膜の異常

処女膜は、膣の入り口にあるヒダ状の粘膜で、その形状や厚みには個人差があります。処女膜が分厚かったり、固い場合、性交時に痛みが出たり、毎回出血したりすることがあります。

◼︎膣カンジダ

健康な女性の膣には、いろいろな菌が常在して膣内の環境が保たれています。ところが、風邪やストレス、疲労などによって均衡が崩れると、カンジダ菌などの菌が増殖してかゆみや性交痛などの原因になることがあります。

◼︎性行為感染症

性行為によって感染する病気には、性交痛の原因となるものが多くあります。性器ヘルペスやクラミジア、尖圭コンジローマ、膣トリコモナスなどが挙げられます。

◼︎骨盤内炎症性疾患

クラミジアや淋菌などの菌が、膣から子宮内、卵管、卵巣と感染場所を広げて炎症を起こす病気で、炎症によって腹痛や性交痛などの症状が出ます。

◼︎子宮内膜症

子宮内膜に似た細胞が子宮以外のところに発生する病気で、お腹の中で臓器同士が癒着する場合があり、性交痛の原因になります。

性交痛の改善方法は？

病気が原因で性交痛が起こっている可能性があるため、まずは婦人科を受診することをおすすめします。

うるおい不足が原因の場合には、まずパートナーと話しあうことが大切です。女性側が我慢してしまうと、男性は痛みに気づかないことが多いです。痛みを我慢することが当たり前になってしまうと、性交＝苦痛なものとなってしまい、妊活どころではありません。パートナーとの関係にも悪影響を及ぼす可能性もあります。

まずは挿入しなくてもお互いが満足できる性交渉を実践してみましょう。キスや愛撫、ふれあいは大切です。いきなり挿入してくる男性がいたら、それは女性を思いやらない最低な性交です。DVDや本など、セックスライフを充実させる教材はたくさんありますので、それらを見るところから始めましょう。

また、ローションや潤滑ゼリーを使う方法もあります。ドラッグストアやネット通販で簡単に購入できますので、試してみるのもいいですね。

そして、生活習慣を見直すことも大切です。妊活中であれば、禁酒・禁煙はもちろんですが、十分な睡眠、適度な運動、栄養バランスの整った食事を摂ることを意識しましょう。いきなり全部を改善することは難しいかもしれませんが、できるところから少しずつ変えていきましょう。

【まとめ】

性交痛の原因は女性側・男性側それぞれにあります。大切なのは、病気の可能性がある場合には婦人科を受診することです。それ以外の場合には、パートナーと話し合い、改善に向けていろいろ試してみましょう。

妊活には性交が必要ですが、単なる挿入が性交ではありません。女性側が性的に満足度が高いと、妊娠しやすいことがわかっています。ぜひ、ご夫婦ともに痛みがなく、満足度の高い性交を目指しましょう。

＜出典・参照元＞

JEXの『ジャパン・セックス・サーベイ』からみる日本人の性行動の実態

日本家族計画協会

MSDマニュアル 性交痛 

大東製薬工業株式会社  萎縮性膣炎・老人性膣炎

大正製薬 膣カンジダってどんな症状？

日本産科婦人科学会 骨盤内炎症性疾患

日本子宮内膜症協会 子宮内膜症とは？