日本は世界有数のART(高度生殖医療)先進国であり、治療実績は世界トップを誇ります。
多くの夫婦がARTの恩恵を受ける一方で、ごくまれではありますがARTによる合併症も存在します。人の手を加え、薬を使う医療行為には必ず「合併症・副作用」があり、それらをゼロにすることはできません。
そこで、今回のテーマはARTにおける合併症とその対処について。治療による効果だけでなく、起こりうるリスクについてもしっかりと理解しておきましょう!
ARTによる合併症は、大きく分けるとこの4つ!
ARTでは、排卵誘発剤の使用をはじめ、卵巣から卵胞を取り出す「採卵」と呼ばれる処置、受精卵を子宮にもどす「胚移植」と呼ばれる処置など、女性にとっては負担を伴う医療行為が多くあります。
ここでは、そのような一つ一つの処置で起こり得る合併症について押さえておきましょう。
1)排卵誘発剤による副作用
・卵巣過剰刺激症候群
もっとも注意すべき合併症です。のちほど詳しく説明します。
2)採卵による合併症
・麻酔の副作用
局所麻酔薬アレルギーによるショック、静脈麻酔薬による吐き気・嘔吐・血圧低下など。
・膣壁の出血
採卵に伴う合併症で、軽いものを含めると10%前後の割合で起こります。大量出血はまれです。
・腹腔内の出血
採卵では医療器具を使って卵巣から卵胞を取り出すため、出血はどうしても避けられません。重篤な大量出血はまれで、その頻度は1%以下という報告もあります。
・骨盤内の炎症
採卵後に骨盤内の炎症を起こす割合は0.5%前後とまれですが、子宮内膜症(とくにチョコレート嚢胞)のある方は注意が必要といわれています。
・臓器の損傷
子宮や卵巣と近い位置にある尿管・虫垂(盲腸)を傷つけてしまうケースが、ごくわずかですが報告されています。
3)胚移植による合併症
胚移植に伴う合併症として、痛み・出血・感染症があります。
4)妊娠による合併症
・異所性妊娠(子宮外妊娠)
卵管結紮術後、喫煙、複数の胚移植でリスクが高くなるといわれています。
・多胎妊娠
現在は、女性が34歳以下で胚移植が2回目までの場合、「胚移植の数は原則1個まで」というルールがあります。これによって、以前に比べると多胎妊娠の割合は減っています。
・その他の合併症
ARTによる妊娠と自然妊娠を比較した研究によると、ART妊娠では妊娠高血圧症・妊娠糖尿病・前置胎盤・早産などのリスクが高くなることがわかっています。
これはARTを受ける女性が年々高齢化していること、それによる生活習慣病のリスク、チョコレート嚢胞といった婦人科系の病気を抱えていることなどが原因のひとつと考えられています。
また、ARTに伴う排卵誘発剤の使用やさまざまな処置をくり返すことで「婦人科系のがん」を懸念される方もいますが、現時点でARTによるがん発症リスクの増大は認められていません。
卵巣過剰刺激症候群は一番注意すべき合併症!
卵巣刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発剤を使用することで起こる合併症です。
卵巣の腫れ、腹水および胸水、血栓症などを引き起こし、多臓器不全で危険な状態になることもあるため注意が必要です。
卵巣刺激刺激症候群(OHSS)のリスク因子
- 多嚢胞性卵巣症候(PCOS)
- 若年(35歳以下)
- 痩せ型
- 卵巣予備能が高いと思われる検査所見(卵胞数が多い、抗ミュラー管ホルモンの数値が高い)
排卵誘発剤を使用する時点で少なからずOHSSのリスクがあるといえますが、これらのリスク因子がある方は、とくに細心の注意を払いながら治療が進められます。
つぎに、OHSSの予防と対策について見てみましょう。
卵巣刺激症候群を防ぐには?もし発症したらどうする?
対策として、まずは「予防」が第一です。
いろいろな方法がありますが、
- 排卵誘発時、卵胞刺激ホルモン(FSH)の使用を少量から始め、少しずつ増やしていく
- クロミフェン製剤を使用した低卵巣刺激法
- hCG製剤を使うことで発症リスクが高くなるため、かわりにプロゲステロン製剤を使う
医療機関としては、このように可能な限りの対策をとります。
また、患者側としてOHSSの症状を十分に理解しておくことも大切です。
排卵誘発剤の使用前に医師から説明がありますが、わからないことはそのままにせず、くり返し確認するようにしましょう。
軽症・中等度の症状
- お腹の張り感、不快感
- 吐き気、嘔吐
- 尿量が減る
- 体重が増える
対策
- 激しい運動は避ける(大きく腫れた卵巣がねじれるのを防ぐ)
- 過度の安静は避ける(血流が滞り、血栓症のリスクが高くなる)
- 1日1000cc程度の水分摂取を心がける
- 弾性ストッキングの着用(血流の停滞による血栓症を防ぐ)
- 定期的な診察を受け、体重・尿量・全身の状態をチェックする
重度の症状
- 強い腹痛
- 腹水・胸水がさらに増える
- 呼吸困難
- 強い吐き気、下痢
- 脱水
- 血圧低下
対策
- 入院による全身管理と治療が必要
また、OHSSは妊娠によって発症・悪化することもあるので、不妊治療中だけでなく妊娠が判明した後もこれらの症状に注意する必要があります。
【まとめ】
すべての医療には、「効果」だけでなく「合併症・副作用」があります。
もちろん、合併症や副作用を少なくするための研究や技術の開発、予防・早期発見のための安全管理や症状観察が日々行われています。
それでも、人の手・薬・器械といった「本来加えられるはずのない何か」が加わることによって起こるトラブルは、残念ながらゼロにすることは難しいのです。
この記事を読まれて、「不妊治療って怖い」と思ったでしょうか?
しかし、どんな治療であっても、合併症や副作用といった「もしものこと」は病院で必ず説明されます。そして、そのリスクを承知して「治療を受けます」という同意があって初めて治療がスタートするのです。
医療者は、安全性の高い治療であっても「もしものこと」を説明する義務があり、リスクを最小限にするため日々努力しています。
そして、これから治療を受ける方にも必要最低限の知識は持っておいてほしいのです。
今は、ひと昔前のような「先生にお任せ」という時代ではありません。
患者側も必要な予備知識を持ち、そのうえで医療者から説明を受け、わからないことはわかるまで質問する。
安全で正しい不妊治療を受けるために、治療の良い面だけを見るのではなく、リスクからも目をそらさず治療にのぞんでいただきたいと思います。
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堀江昭佳Twitter
<出典・参考元>
生殖医療の必修知識2017(一般社団法人 日本生殖医学会編)