「オリモノが増えた気がする」「少し臭いも気になる」という悩みを抱えていませんか?
デリケートな部分の悩みはなかなか相談しにくいですよね。普段、あまり話題にあがらない膣の中のことやオリモノについては、詳しく知らない方の方が多いのではないでしょうか。
実は膣の中には良い乳酸菌が住んでいて、病気の原因になる悪い細菌(病原菌)から私たちの体を守ってくれているのです。
この記事では
・膣の中はどのように守られているのか
・正常なおりものと気を付けてほしいおりものについて
・病原菌が膣の中に増えてしまうとどうなるのか
・病原菌に負けない膣内環境を作るために気を付けてほしいこと
について詳しく説明していきます。
正常な状態の膣とは
まずは、正常な膣の中はどのような状態なのかについてお話します。
正常な膣の中はpH3.5から4.5ぐらいの酸性の状態を保っています。この酸性の状態を保つことで、膣の中に入り込んできた病原菌が増えるのを防いでいるのです。
酸性のバランスが崩れてアルカリ性に傾いてしまうと、膣の中に入り込んだ病原菌が簡単に増えてしまい、色々な病気を引き起こしてしまいます。つまり、膣の中の健康を保つためには、膣の中のpH値を3.5から4.5の酸性の状態を保つことが大切ということです。
しかし、膣の中が酸性の状態かどうかを自宅で検査をすることはできません。そこで、毎日確認してもらいたいのがオリモノの性状や量です。オリモノだけでは膣の中が酸性かどうかまではわかりませんが、膣の中が健康な状態かどうかを知る手掛かりになります。まずは、正常なオリモノについてお話します。
○正常なオリモノの特徴
・量:人によって差が大きく、判断が難しいのですが、排卵日の前後では量が増えることが多いです。
・色:透明や白色~クリーム色です。
・臭い:無臭~少し酸っぱい酸味があることもあります。
・性状:人によって性状は多少違います。排卵日頃は水っぽくなったり、卵の白身のようなドロッとしたオリモノが出たりすることもあります。
人によってオリモノの量や色は少し違いがあるので、病気のサインを早く見つけるためにも、普段のオリモノの状態を確認しておくことが大切です。
オリモノの異常は膣からのSOS?!
膣の中は凹凸のあるひだ状になっていて、細菌が繁殖しやすい温度と湿度に保たれています。また、膣は肛門に近いので、多くの細菌が膣の中に入り込みやすい環境です。
膣には自浄作用という働きがあり、病原菌が増えないように、オリモノと一緒に病原菌を体の外に出すことで膣の中を守っています。そのため、膣の中に病原菌が増えてしまうとオリモノが変化してくることが多いのです。
○膣の中に病原菌が増えたときのオリモノの特徴
・オリモノの量が増える
・オリモノの色が黄緑色になったり、白いボロボロしたチーズの様なものが出たりする
・オリモノの臭いが強くなった
・膣の中がかゆい
などがあります。このような変化は病原菌が入り込んでいるサインかもしれません。気になる場合は産婦人科で早めに相談しましょう。
膣や子宮を守ってくれる乳酸菌、ラクトバチルス菌
乳酸菌と聞くとヨーグルトが思い浮かぶ方も多いと思いますが、膣や子宮を守る乳酸菌とは少し違います。腸の中には良い乳酸菌がいて、腸の中の環境を整えることで体の健康を守っているという話は有名ですが、膣の中も同じように良い乳酸菌の働きで健康が守られているのです。膣の中にいる良い乳酸菌はラクトバチルス菌といいます。
このラクトバチルス菌は、女性ホルモンの働きで作り出されたグルコース(ブドウ糖が集まったもの)から乳酸を作り出しています。この乳酸のおかげで腟の中をpH3.5~4.5の酸性の状態に保つことができます。
つまり、ラクトバチルス菌の働きで膣の中を酸性にし、膣の自浄作用が正しく働くように環境を整えることで、腟の中で病原菌が増えるのを防いでくれているのです。
腟と同じように子宮の内にもラクトバチルス菌がたくさんいて、子宮の中の環境を良い状態に保ってくれています。また子宮の中にラクトバチルス菌がたくさんいる方が妊娠しやすいということもわかってきました。ラクトバチルス菌は私たちの体にとってなくてはならない乳酸菌の1つだと言えます。
膣内のバランスが乱れるとどうなるのか
膣は子宮を病原菌から守る役割もしています。病原菌の数よりもラクトバチスル菌の方が多ければ病原菌は増えにくくなり、膣と子宮の環境を良い状態に保つことができます。
しかし、色々な理由で膣の中のラクトバチスル菌が少なくなり、自浄作用が正常に働かなくなると、病原菌が膣を通り抜けて子宮の中に入り込む危険性が高くなります。
子宮の中に細菌が入り込みと、不妊の原因にも関係する子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などがおこる可能性があります。炎症のある状態が長く続くと、卵子の通り道である卵管が詰まってしまってしまう卵管閉塞になったり、受精卵が子宮内膜に着床することが難しくなったりするおそれがあります。
膣の中の環境をよくするために気を付けてほしいこと
膣の中を良い状態に整えるためにはラクトバチルス菌を減らさないことが大切です。そのために気を付けてほしいことについてお伝えします。
○外陰部や膣は洗いすぎない
洗浄力が高いアルカリ性の石鹸や膣内洗浄製品は、病原菌だけでなく、良い細菌も一緒に洗い流してしまいます。そのため、膣の自浄作用が上手く働かなくなることがあります。
石鹸でゴシゴシ洗ったり、頻繁に膣内洗浄機を使用したりすることはおすすめできません。基本的にはぬるま湯と手で外陰部を優しく洗いましょう。
膣の中まで指を入れて洗ったり、シャワーで中を流したりする必要はありません。中まで洗ってしまうと、大切なラクトバチスル菌まで殺してしまい、膣の中の環境が悪くなってしまいます。気になる場合は、外陰部のみ弱酸性の石鹸を使用して洗うことをおすすめします。
○ナプキンは清潔に
ナプキンやタンポンを長時間交換しないと病原菌が増えていきます。生理の量が多くない日でもこまめに交換するようにしましょう。
○通気性の良い衣服を選ぶ
下着や服によるムレやしめつけも膣の中の環境を悪くする原因となることがあります。ゆったりした衣服を選びましょう。
○ストレスの少ない生活を送る
免疫力が落ちるとラクトバチスル菌が減り、膣の中の環境が悪くなってしまいます。なるべくストレスを減らし、良い睡眠、バランスのとれた食事をとるようにしましょう。
○抗生物質服用時の注意
抗生物質は悪い細菌だけでなく、良い菌であるラクトバチスル菌も殺してしまいます。抗生物質の内服中と内服後は、より一層健康的な生活を心がけることで膣内の環境を早く回復させましょう。
まとめ
今回の記事では、膣の中の正常な環境について、また膣や子宮を守るラクトバチスル菌について詳しくお話してきました。
乳酸菌の一種であるラクトバチスル菌が住みやすい環境を整えることで、膣の自浄作用が正しく働き、病原菌から体を守ることができます。
もし、膣の自浄作用が弱くなってしまうと、膣の中だけでなく子宮の中にまで炎症が広がる可能性があります。炎症が子宮や卵巣などに広がると不妊の原因になることもあるため、ラクトバチスル菌を減らさないように心がけて、膣の中の環境を良い状態に保っていきましょう。
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