今回のテーマは「胚凍結保存」です。
受精卵を凍らせて保存する方法ですが、不妊治療初心者の方は「どうして受精卵を凍らせる必要があるの?」「受精卵を凍らせて大丈夫なの?」といった疑問があるのではないでしょうか。
胚凍結保存のような高度生殖医療(ART)と呼ばれる不妊治療は、生命の根本的な部分を扱う医療です。かなり専門的な分野ではありますが、初心者の方にもわかりやすい言葉で解説していますのでぜひ最後まで読んでくださいね。
なぜ受精卵を凍結保存するの?
体外受精・顕微授精によって作られた受精卵は、原則として1回の胚移植(受精卵を子宮に戻すこと)につき受精卵1つと決められています。
しかし、体外受精・顕微授精でめでたく受精卵となり、さらに妊娠までこぎつける卵子は13個に1個の割合といわれています。
このように、すべての卵子が受精・妊娠までたどりつく保証がない中で、その都度卵子を取り出して受精させるというやり方はとても非効率で、体にも負担がかかります。
そこで、1回の採卵(卵巣から卵子を取り出す処置)のときにより多くの卵子を確保し、それらを受精させて複数の受精卵(胚)を作り、凍結保存するのです。
胚を凍結保存する目的はいくつかあります。
- ・複数の胚を凍結保存しておくことで、次回以降は採卵せずに胚移植が行える(体への負担が少なくなる)
・子宮内膜が着床に適さない状態(子宮内膜が薄い、胚の発育と子宮内膜の状態がマッチしないなど)のとき、胚をいったん凍結保存して、子宮内膜を整えて十分に厚くしてから胚移植をすることで妊娠しやすくなる
・子宮筋腫・子宮内膜症の手術や悪性腫瘍で抗がん剤を使用するなど、卵巣の機能低下もしくは機能喪失の可能性がある場合に、胚を凍結保存することで妊娠できる可能性を残しておく
体外受精・顕微授精で排卵誘発剤を使用すると、その周期での卵胞の発育は良いのですが、子宮内膜が薄くなる・胚が育つタイミングと子宮内膜の状態が合わない(着床に適さない)ということが起こります。
つまり、採卵周期での胚移植は着床しにくく、妊娠率はいまひとつなのです。
2013年の日本産婦人科学会の集計では、ART全体の出生児の中で凍結胚移植によるものが75%を超えており、全体の4分の3を占めています。
これは、新鮮胚移植(凍結保存することなく、採卵周期で胚移植を行うこと)に比べて、いったん胚を凍結保存し子宮内膜を整えてから行う凍結胚移植のほうが妊娠・出生率が高いことを証明しています。
なぜ、受精卵を凍らせても平気なのか?
なぜ、受精卵を凍らせても大丈夫なのでしょうか?とても不思議ですよね。
極端な例えになりますが、受精卵を家庭用の冷凍庫で凍らせて保存できるかというと、それは不可能です。細胞が壊れ、受精卵は死んでしまいます。
しかし、医療施設では特殊な方法で凍らせるため、細胞としての形や機能を壊すことなく保存できるのです。
日本で主流となっている「ガラス化法」という胚凍結保存の方法みてみましょう。
ガラス化法
まず、細胞をそのまま凍結保存すると「細胞内の水分が凍ることで体積が増えて膨張し、細胞が壊れてしまう」という問題があります。
ペットボトルに水を入れて凍らせると、氷の結晶ができて体積が増え、ボトルが膨らんで割れてしまいますよね。
受精卵を壊さないようにするには、凍らせるときに氷の結晶ができないようにしなければなりません。
そこで胚凍結の際には、まず「凍結保護剤」という特殊な液体に受精卵をしばらく浸します。この処理をすることで、浸透圧によって受精卵の中の水分が抜け、かわりに凍結保護剤が受精卵の中に入ってきます。
つぎに、凍結保護剤の入った受精卵を特殊な容器に載せ、−196℃の液体窒素に入れて瞬時に凍結します。
凍結保護剤によって、受精卵は氷の結晶を作ることなくそのままの状態で凍りつき、ガラスのように固まった凍結胚が完成するのです。
超低温で一気に凍結するガラス化法は、受精卵にほとんどダメージを与えることなく長期保存できるのが特徴です。
受精卵の凍結保存をするうえでの注意点
受精卵の凍結保存にはいろいろなメリットがありますが、いくつか注意しなければいけないこともあります。
- 受精卵を凍結・融解させる(いったん凍らせて、再び元の状態に戻す)という大きな変化を起こすことで、受精卵にストレスを与えてしまう
- そのため、5〜10%の確率で受精卵の凍結・融解後にダメージを受けることがある
- ダメージが大きすぎると、受精卵そのものが壊れてしまうことがある
- 地震や火災などによって凍結胚が融解してしまうと、再び凍結することはできないため受精卵を失うことになる
- 凍結胚の保存期間は一般的に1〜2年間(医療機関によって違う)。保存期間の延長は原則として自己申請で、うっかり申請を忘れて保存期間が過ぎると、夫婦の了解がなくても廃棄されることがある
また、日本では凍結胚の保存期間を「夫婦関係が継続していること」「母体の生殖年齢を超えないこと」と定め、凍結胚の使用に一定の規制をかけています。
そのため、離婚や死別などで夫婦関係が絶たれてしまい夫婦そろって胚移植に同意が得られない場合や、女性が生殖年齢を超えてしまった場合は、凍結胚の移植を行うことはできません。
受精卵の凍結保存を行う際には、これらの注意点が医師より事前に説明され、十分納得した上で同意する必要があります。不明な点や心配なことがあれば、何度でも質問しましょう。
そして、医療機関・患者間のトラブルを回避するために「同意書」という形で書類を交わすことになります。
受精卵の凍結保存・凍結胚移植の費用は?
気になるのが、受精卵の凍結保存および凍結胚移植にかかる費用です。
東京大学医学部附属病院の例をあげると、
胚凍結
1〜2個:54,000円
3〜4個:75,600円
5個以上:108,000円
さらに、凍結胚を融解して移植する場合は、通常の胚移植の費用(73,440円)に追加して49,689円がかかるそうです。
これらの費用は、すべて保険適用外(自費)になります。
自治体に申請することで治療費を助成してもらうこともできますが、それは全体の治療費のほんの一部に過ぎません。
ARTには高額な費用がかかるため、それを理由に治療の継続を躊躇したり、断念する人がいるのも事実です。
【まとめ】
「受精卵を凍らせる」
胚凍結保存は、多くの人にとってなじみの少ない、ある意味ショッキングな医療といえるでしょう。
受精卵という新しい命の根源ともいえる細胞を、「凍らせて保存する」ということに倫理的な違和感を感じる人がいるかもしれません。
その一方で、難治性不妊に苦しみ、子供を持つことを諦めていた多くの人たちがARTによって救われているのも事実です。
今回お話したように、胚凍結をすることで妊娠率を上げたり、将来の妊娠に備えられるというメリットもあります。
しかし、不妊治療が高度になればなるほど、「命とはなにか?」という問いを突きつけられ、悩む原因にもなります。
不妊治療をすすめる過程で、夫婦そろって互いの倫理観・生命観について語り合うことも大切ではないでしょうか。
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堀江昭佳Twitter
<出典・参照元>
不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」(浅田義正・河合蘭 著 講談社ブルーバックス)
生殖医療の必修知識2017(一般社団法人 日本生殖医学会編)