こんにちは、薬剤師の冨山です。
今回は、
・ “プレコンセプションケア”(受胎前管理)について
・ 中医学の考え方でできること
についてお伝えしたいと思います
プレコンセプションケアとは?
将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと、 健康管理をすること。
妊娠を計画している女性だけではなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアで、流産・早産・2500g未満の低出生体重児・先天異常などの発生頻度を抑えることにもつながったり、生活習慣や食生活を見直すきっかけにもなります。
プレコンセプションケアが広まった背景の1つ
◎やせ型の女性が増えてきている
現在、戦争や大きな飢餓もない日本ですが、2000年前あたりごろから低身長・低体重の方が増えつつ、それに相関して低出生体重児が増えてきています。
やせの者(BMI<18.5kg/㎡)の割合の年次推移(20~59歳、女性)
《参考:厚生労働省 平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要》
《参考:すこやか親子21 妊産婦の健康》
これは学術誌でもとりあげられており、他の国と比べても、日本は圧倒的に妊娠中の体重増加が少ないというデータや、BMIが20以下になると、赤ちゃんも小さく早産の率が高くなることがわかるデータもあります。
お母さんの栄養が不足していると、赤ちゃんは飢餓状態でも生きていけるようにプログラミングされるのですが、日本は現在そんなに飢餓の国というわけではないので、生まれてきたお子さんが普通に飲食していると肥満になりやすい・生活習慣病になりやすい等のリスクがでてきます。
出生時の体重が大きくてもリスクは高いですが、低体重でも将来の心血管・高血圧リスクが高くなるとのことです。
これらのことから、自分のためにも赤ちゃんのためにも適正体重、やせすぎには注意することが重要です。
最近(2021年3月)は、妊娠中の体重増加指導にも変化がありました。
《参考:厚生労働省 「妊産婦のための食生活指針」より》
従来の基準より2~3kgずつ引き上げられており、現在は本人のBMIに合わせて指針をたてましょうというように変わりました。
プレコンセプションケアでチェックするポイント
- 食事のバランス
- 睡眠
- 運動
- 感染症の確認(予防でワクチンなども含む)
- 禁酒や禁煙
- 歯のケア
- 家族の病気を知っておく
- 癌のチェック
- 生活習慣病の確認 等があります。
食養生の面では、日本食のほか、地中海料理もバランスが良いと言われています。
将来のためだけでなく、今の自分の不調のケアにもつながりますので、気になる方は、チェックしてみてください。
女性用プレコンセプションケアチェック 男性用プレコンセプションケアチェック
引用:国立成育医療センター
プレコン・ チェックシート | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
プレコンノート | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
中医学の考え方
やせ型の方が増えてきていると記載いたしましたが、体重を増やしたくても増やせないという方も多いです。これは、中医学では脾虚と言われます。
脾虚とは?
脾とは胃腸をあらわしていますが、
- 食べても体重が増えない
- 食欲がなく少量しか食べることができない など
胃腸の元気がないことを脾虚といいます。
胃腸は、食べ物から得られる栄養を取り入れ、中医学の三本柱である
- 気(元気やエネルギー)
- 血(血液やホルモン、栄養)
- 水(うるおい、若々しさ)
これらへ、つくりかえたりする場所なので、胃腸の元気がないと元気がでなかったり、全身へ血がいきわたりにくく冷えにつながったりもします。
※西洋学の胃腸の考え方と少し異なる部分があります
脾虚をよくするために日常でできること
- 1口30回から50回ほどよく噛んで消化を助ける
- 1回の食事量を腹八分目とする
- 冷たい飲み物や食べ物(刺身、生野菜など)など体を冷やすものをなるべく控える
- 脂っこいもの、味の濃いものを食べ過ぎない
- やせ型の方であれば、体重が減りすぎたりなければ夕食断食(週1,2回から)
日常の養生で土台作りをしてご自身の胃腸の力をあげることが大事です。
早く体調をよくしたいという方は、漢方でもお力になれることがありますので、よろしければご検討ください。
<出典・参照元>
プレコンセプションケアセンター | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
平成29年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
妊産婦の健康 – 健やか親子21-妊娠・出産・子育て期の健康に関する情報サイト- (mhlw.go.jp)
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文責・薬剤師 冨山里紗